雨がネクタルに変わるまで January2022

 2022年1月のタロットメッセージをお届けいたします。

素敵な1月になりますように!



液体としての水の流れは

高いところから低いところへ導かれる


岩清水がしずかに滲みだし岩をつたい

ときには雪解け水とともに山をくだり

川となり、大地の傾斜の導きにより

やがて海へと注ぎ込む


その海水が太陽に照らされて蒸発し

風に導かれる雲となり

山に注がれる雨となり

ときには山に降り積もる雪となり

山の岩盤の奥深くへゆっくりしみこんでいく


あなたの旅の道のりは

そのように姿形を変えながら

流転する水の旅ととてもよく似ている


海に向かう旅もあれば

山に向かう旅もある


その道のりの半ばでさまざまなものを

吸収したり放出したりしながら

あなたは大地に導かれ風に導かれ

太陽の光によって変容を重ねていく


今日このメッセージを読んでくださっている

みなさまはおそらく海に向かう旅をしている方が多いのかもしれない


おそらくあともうすこしで

海にたどり着く


その途上では

水の気配(水脈)を感じとりながら

丁寧に歩を進めてほしい


雨が降るとき、海が近いときには

風の匂いや湿り気が変わってくる


川や滝が近いときは水の音がしてくる


水の気配が近づくほどに

霊感は冴えてくる


ここからの一歩一歩は

どうか甘く優しくロマンチックに


あなたが今そのように歩むほどに

手にした杯の水は

甘美な〈ネクタル〉になってゆく



引いた日 202213日 新月

書いた日 2022111日 雨降る午後



( 1 )

よりハッピーになるために、今月どのようなことを大切にして過ごすとよいですか

「カップのナイト」(正位置)




( 2 )

( 1 )のカードのメッセージを実践するとどうなりますか。

「運命の輪」(逆位置)、補足として「金貨の6(正位置)





( 3 )

( 2 )で起きてくることの理想的なプロセスやアドバイス

「剣のペイジ」(正位置)

「女帝」(正位置)


※全景の写真を掲載しています




愛や優しさ、芸術的な事柄や心の癒しへの着手を通して、回転扉から出るかのように、ループしていた状況から脱することができるときかもしれません。

マルセイユタロットやライダー版タロットの図像は、宗教的魔術的錬金術的な概念を象徴化したモチーフで構成されており、「運命の輪」に描かれた轍の流転の様子は、天の星々の運行や天の采配、魂の輪廻転生を表していると言われています。






2枚のカードの写真を見比べていただくとわかると思うのですが、「運命の輪」のカードに描かれている鷲、牛、獅子、天使のモチーフは、12月に出てきた「世界」のカードにも重なっています。

この4つの存在は「運命の輪」のカードではそれぞれ書物を開いており、勉強している姿として描かれています。


じつは12月のタロットメッセージの時点で輪から出るというイメージを感じていたのですが、1月のカードからも同じようなメッセージが重複して示されているようにも感じました。



どこまで踏みこんで書くべきか迷ううちに、今日になり、雨降りしきる中、雨音を聞きながらいざ書き始めたら、核心としてのメッセージは水の物語の形をとって展開しました。


私の中では海をあらわすカードとして「カップのキング」を思い浮かべることがよくあるため、カップのキングの一歩手前のカップのナイトが出たことから、山への旅か/海への旅かを思ったとき、海に向かう旅の途上であると解釈しました。



メッセージを占星術的に紐解くとすれば、金星や水星などの逆行からよき贈り物を受け取れることを示唆しているようにも感じますし、輪廻転生という壮大な概念を身近に引き寄せて占星術的に考察するとしたら、自分のドラゴンヘッド、テイルにまつわる要素に着目してみてもよいかもしれません。あと、太陽系の外に目を向けて恒星パランなどの要素も!金星のオクターブ上は海王星が対応しており、金星のエネルギーを最大限に発揮すると海王星のような働きになると言われています。海王星がカップのキングだとしたら、金星はカップのナイトに対応します。



お正月は穏やかな晴天でしたが、16日には東京近辺にも雪が舞いました。


雪の結晶はどれひとつ同じ形のものがないそうで、まるで魂の個性のようだと感じました。


雪の結晶が空からひらひらと落ちてくるのを見るたびに、大好きなポール・ギャリコの『雪のひとひら』というお話を思い出します。





この本は雪のひとひらの一生を綴った物語ですが、彼女がまるで運命の輪の外側から自分の人生を振り返っているような場面があります。その中の一節をご紹介して、締めくくりたいと思います。



いかなる理由あって、この身は生まれ、地上に送られ、喜びかつ悲しみ、ある時は幸いをある時は憂いを味わったりしたのか。最後にはこうして涯しないわだつみの水面から太陽のもとへと引き上げられて、無に帰すべきものを?

 まことに、神秘のほどはいままでにもまして測り知られず、空しさも大きく思われるのでした。そうです、こうして死すべくして生まれ、無に還るべくして長らえるにすぎないとすれば、感覚とは、正義とは、また美とは、果たして何ほどの意味をもつのか?


(中略)


雪のひとひらは自分の全生涯が奉仕をめざしてなされていたことを悟りました。彼女は野の花をうるおし、蛙を憩わせ、人々のパンのために水車をまわし、火事を鎮め、巨大な艦船の運行をたすけたのでした。


生まれおちてこのかた、彼女の身に起こったあらゆることどもの裏には、なんとまあ思慮深くも周到な、えもいわれず美しくこまやかで親身な見取図がひそんでいたものでしょう。今にして彼女は知りました。この身は、片時も、造り主にわすれられたり、見放されたりしてはいなかったのでした。

(『雪のひとひら』ポール・ギャリコ著・矢川澄子訳)


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