2024年3月の新月のメッセージ

 今日は春分の日。

みなさまいかがお過ごしでしょうか。

太陽が真東から昇り、真西に沈む日。

北半球では冬から春へと、南半球では夏から秋へと、ひとつの季節の扉が閉じて、次の季節への扉が少しずつ開きはじめるとき。

花粉や種子を運ぶ風が勢いよく駆けめぐる空の上で

渡り鳥も行く鳥、来る鳥が交差していそう。

春分の日のメッセージを引いたのですが、テキストが長くなってしまったのでそれは明日あらためてアップすることにし、今日は3月10日の新月の日に引いたメッセージをお届けいたします。

新月のメッセージはこの月が満月を迎えるまでの期間と、さらに次の新月までの期間、これらふたつの期間を内包したものになります。


2024年3月の新月のタロットメッセージ


SMITH-WAITE TAROT DECK CENTENNIAL EDITION


カードが示す流れの変化は、「冬から春へ、少しずつ少しずつ移行している」。これは、今この時期の気候をあらわすだけでなく、「人生の中で冬のような状態だった事柄が春を迎えようとしている。」ことをあらわしているように思います。

じつは引いたカードたちはすべて逆位置だったのですが(絵柄を見やすくするため写真は正位置にしています)、逆位置になるときは、そのカードの状態から脱していく様子や、入っていっている様子を表してくれる場合があります。今回の逆位置のカードはいずれもそんな感じとして捉えることができます。


冬を脱して(背景)

春が始まろうとしている(今、着目すべきこと)

そして自分の人生を豊かに具体化するための手先や足先に血が通いはじめる(着目した場合のなりゆき)

長い時間を経て、自分という土壌から培われた美味しい果実を味わう(全体のメッセージ)


カードを引いてその意味を解釈したあとに、ふと目についた本を開いてみると、まさにその解釈そのものを見事に描写しているなぁという文章に出会うことがあります。今回はまさにそんな文章との出会いがあったので、ここに抜粋したいと思います。ヘミングウェイの『移動祝祭日』という作品の中の一節です。


街中にも樹木があるので、日毎に春が接近しているのを感じているのを感じているうちに、ある晩一陣の温かい風が吹き、翌朝には突然春になっていたりする、ときには土砂降りの氷雨がそれを押し返し、もう二度と春はこないのではないか、自分の人生から一つの季節が無情に奪われてしまうのではないか、と思うこともあった。


毎年、木の葉が落ち、裸の枝が風に打たれて冷たい冬の光に照らされるときは、自分の一部が死んだように感じられるものだ。それでもなんとか耐えられるのは、凍った川が再び流れるように必ずまた春が訪れるとわかっているからだ。それなのに氷雨がいつまでも降りつづいて春が圧殺されてしまうと、若者が何の理由もなく死んだような気になった。


 それでもあの頃は、最後には必ず春が訪れた。が、ほとんど訪れそうもないように思えたときは、そら恐ろしい気持ちがしたものである。


ヘミングウェイ『移動祝祭日』高見浩訳「セーヌの人々」より


そら恐ろしい気持ちになった日があったとしても、

最後には必ず春が訪れる。



あぁ、人生は楽しい。


そうした思いが

少しずつ満ちていく時間は幻ではなく。


果たされる約束のように降り積もる。



 「メアリ、あの朝、きみが走ってやってきて、『きたわ!きたわよ!』とさけんだとき、ぼくはなんだか変な気がしたんだ。まるで、何かがお祭りみたいににぎやかな音を出して、行進してきたのかと思ったからさ。ぼくの本に、そんな絵があったんだ——きれいな服を着た大人や子供がいっぱい集まっていて、頭に花輪をつけたり、花の枝を持ったりしててね、みんな、笑ったり、踊ったり、一緒になって、笛を吹いたりしているんだよ。だから、ぼくはきみに言ったんだ。『きっと、黄金のラッパの音が聞こえてくるだろう。』ってね。そして、きみに窓をあけてもらったのさ。」

「それ、おもしろいわ!」

メアリはいいました。

「春になると、ほんとにそんな気分になるのよ。まるで、花や葉っぱや緑の芽や野生の動物たちがみんな、いちどきにおどりだしたみたいに。すごくにぎやかよ!おどったり、歌ったり、笛をふいたり、楽しい音楽がいっぱいになる感じなの。」

ふたりは同時に笑いだしました。でも、それはおかしかったからではなく、すごく楽しい気持ちになったからです。

『秘密の花園』F ・H・バーネット 谷口由美子訳 講談社より




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